着物についての基礎知識をまとめたサイト
日本人の象徴的なファッションとして世界中から愛されている着物。
最近では、伝統的な着物文化と現代的なファッション文化が混ざり合った、アンティーク着物による個性的なコーディネートを楽しむ方も多いようです。
中古着物やリサイクル着物とも呼ばれているアンティーク着物は、昭和初期よりも前に作られた着物である為、他のお店を探しても同じ柄の着物は、ほとんど存在しません。
昭和初期は和服が普段着であった為、当時の着物にはデザインの柄が豊富であることも人気のひとつです。
“大正ロマン”や“昭和モダン”と呼ばれるような幾何学模様や独特な花柄が、斬新なファッションスタイルに欠かすことの出来ないアイテムともなっています。
今後、成人式や普段着としてアンティーク着物のご購入を考えている方や、アンティーク着物を含めた“着物”を着こなせるようになりたい方に向けて、いくつかまとめてみました。
アンティーク着物の選び方
アンティークの着物や振袖、浴衣といった和装は、現代のものとは一風変わった独特の色合いや柄が特徴的でもあります。
「個性的な着物を着こなしたい」「みんなとは一味違うお洒落な着物が欲しい」と考えるお洒落さんや個性派ファッションを愛する方に人気のあるアンティーク着物。
成人式や特別なイベント時などに、アンティーク着物を着こなす人を見かけるとついつい見とれてしまいそうになります。
しかし、アンティークの着物は新品の着物とは違い、購入する際に気を付けなければならないことがいくつかあります。
自分自身の個性の象徴ともなる素晴らしいアンティーク着物を見つけやすくする為の注意点を、ここでいくつか紹介させて頂きます。
着物と洋服のサイズの違い
標準的な体型であればあまり心配する必要はありませんが、スレンダーな体型の方やふくよかな体型の方は身幅が合わない可能性がある為、確認が必要です。
着物の身幅とは、ヒップの一番太い部分を指す為、ウエスト部分を基準に考える洋服とはサイズ感が異なってしまいます。
心配な方は、気に入った着物を見つけた際に試着を行うようにしましょう。
身丈の確認
身丈とは、着物の長さです。
着物は普段着るような洋服とは違い、ウエスト部分に折り返しを作る“お端折り”というものを作る為、自分の身長よりも5センチ程度余裕のあるものがベストです。
裄の確認
着物の背面部分の中から、袖口までの長さを裄(ゆき)と言います。
肩から採寸し、手首より前後3センチがベストサイズとされています。
汚れの確認
着物である場合ももちろんですが特に振袖は晴れ着となる為、シミやくすみがないか確認しましょう。
どの程度までなら許せるかは個人差がありますが、袖や胸元は大変目立ってしまう為、避けておくことが無難です。
直接お店で購入する場合は自身の目で確認することが出来ますが、ネットショップやオークションなどを利用する場合は出品者の評価が良いものを選びましょう。
においの確認
アンティーク着物は、言わば中古品なので樟脳などのにおいが付着していないか確認しておきましょう。
中にはカビ臭いという場合もあるので、着用していない状態で不快なにおいがすると判断した場合は避けた方が良いでしょう。
また、ネットショップやオークションを利用する場合は、クリーニングが済んでいる着物を選ぶようにしましょう。
小物類の選び方
アンティーク着物に、そのままアンティークの帯を合わせてしまうと、古くさい印象になってしまうことが多くあります。
帯や髪飾り、バッグなどは流行を取り入れる方がお洒落な雰囲気が出やすいでしょう。
また、現代的な着物よりも柄が個性的なアンティーク着物は、小物類の組み合わせひとつで他の人と大きく差をつけることが出来ます。
ベレー帽やカンカン帽などをアンティーク着物と組み合わせてみたり、メガネやブーツを着用するなど、昭和レトロな雰囲気を醸し出しつつ現代的でお洒落な組み合わせを心掛けることにより、着物のコーディネートの幅が広がることでしょう。
リサイクル着物や中古着物を含めたアンティーク着物は、比較的に値段もリーズナブルな設定である為、現代には無いような面白いデザインに出会う可能性が高く、着物を普段のファッションに取り入れるきっかけとしてもお勧めです。
しかし、購入をする際に少しでも気になることや心配事がある場合は、納得した決断が出来るまで相談するといいでしょう。
自分に似合う着物の色とは?
着物を選ぶ時に、最も悩むのが着物の色味ではないでしょうか。
柄や帯の配色、小物類の組み合わせももちろんですが、基本ベースとなる色が決まっていなければ、数多く用意された着物の中から自分自身に似合う着物を見つけ出すのは難しいでしょう。
自分の好きな色と、自分に似合う色というものは少し違います。
本人の生まれ持った肌の色や、髪の毛、目の色、骨格、顔のパーツなどを組み合わせた、その人特有の雰囲気や個性によって似合う色が存在し、別名パーソナルカラーとも呼ばれています。
自分自身のパーソナルカラーを知っておくことで自身の持つ魅力がより一層引き出され、着物を着用した時に大きな変化が表れます。
色彩と人は関わりが深く、色味によって印象を変えてしまえるほどの効果があるのです。
お店によっては専門のパーソナルカラーコーディネーターが在籍しているそうですが、着物選びをする前に、自身に似合う色味を把握しておくと時短にも繋がるのでお勧めです。
パーソナルカラーには2つの基本タイプがあり、その中でも黄色味の強い色の似合う「春タイプ・秋タイプ」と青味の強い色の似合う「夏タイプ・冬タイプ」に分かれていますが、今回は、春タイプ、夏タイプ、秋タイプ、冬タイプの4つに分けてそれぞれの雰囲気の特徴と似合う色味を紹介させて頂きます。
春タイプ
透明感のある健康的な肌質にツヤのある髪質、顔立ちのハッキリした明るい雰囲気が特徴的な春タイプ。
実年齢よりも若く見え、可愛い印象の強いタイプで、柔らかく華やかな色味がよく似合います。
黄色、黄色味のかかった緑、ベージュ、コーラルピンク、オレンジなどを選ぶことにより、自身の持つ可憐な雰囲気が引き出され、顔色が明るくなります。
春タイプは童顔の方に多く、明るく鮮やかな色味を纏うことにより、元々持つ若々しさを強調してくれるでしょう。
着物に合わせいる装飾品は、小ぶりでゴージャス感のあるものがお勧めです。
夏タイプ
きめ細やかでふわっとした肌質に柔らかい髪質、ソフトで涼しげな目元が特徴的な夏タイプ。
上品な雰囲気を持っている方が多い為、控え目な色味が似合います。
水色、明るめの紺、ラベンダー、白、ベビーピンクなどの爽やかな色味を選ぶことにより、上品かつ爽やかな雰囲気が引き出されるでしょう。
エレガントな印象が魅力的な夏タイプですが、モダンなタイプの着物もお洒落に着こなすことが出来ます。
品のある優しい印象が強い為、レース素材や透け感のある装飾品を着物に合わせると良いでしょう。
秋タイプ
ツヤのある肌質にボリューミーな髪質、落ち着いた顔立ちと愛らしさを兼ね備えた秋タイプ。
春タイプと同じ黄色味の強い色が似合う秋タイプですが、春タイプとは対照的に暗く濃い色味が似合います。
茶色、オリーブ、マスタード、ワインレッド、モスグリーンなどの深みと暖かさが兼ね備えられた色を使用することにより、落ち着いた雰囲気が引き出されるでしょう。
秋タイプはシンプルなデザインもゴージャズなデザインも似合うので、着物を選ぶ時はどちらかに寄せて選んでいくことをお勧めします。
冬タイプ
なめらかで張りのある肌質に艶めく髪質、強い目力とハッキリした顔立ちが特徴的な冬タイプ。
クールで華やかな雰囲気を持つ方が多く、最も第一印象に残りやすいタイプと言えるでしょう。
夏タイプと同じく青味の強い色が似合う冬タイプですが、青味の強い色の中でも、黒、ダークネイビー、ロイヤルブルー、ターコイズブルー、レッドなどの強く鮮やかな色味を選ぶことにより、クールで落ち着いた雰囲気が引き出されるでしょう。
また、4つの色のタイプの中で唯一黒色が似合うのが冬タイプです。
シンプルなデザインでも存在感を出すことが出来ますが、ワンパターンとなってしまいがちなので、着物の色とは別に色味のアクセントを効かせることをお勧めします。
自分に似合う色味を知ることによって、これまで挑戦したことのない色味にも手を出しやすくなるのではないでしょうか。
色の数だけ着物にも組合わせがあるので、自分にぴったりな色味からデザインを選んでいくことにより、更に魅力的な着物美人となるでしょう。
着物を美しい状態のまま保つ為の心得
着物を着こなす女性を見かけると、大人の女性としての魅力や上品さを感じます。
しかしそれは着物が女性の美しさや魅力を引き出しているのではなく、着物を着こなしている女性自身の振る舞いや動きが着物の美しさを際立たせていると考えられるでしょう。
着物を美しい状態で着付けることも重要ですが、着付けをした着物を美しく状態のまま保ち続けることは、当然ですが着物を着ている本人次第です。
本来は着物を着ることにより姿勢が正されると言いますが、なかなか着物を着る機会のなかった方は、着物を美しく着こなす為の心得を意識しながら過ごすことにより、美しい状態のままで着物を楽しむことが出来るでしょう。
そんな着物にあまり慣れていない方に向けて、美しく着こなす為の心得をまとめてみました。
姿勢と歩き方
普段着物を着馴れていない方にとっては、着物が窮屈に感じるかもしれません。
まずは肩の力を抜き、背筋を伸ばすことを意識しておくと良いでしょう。
肩に限らず全体的に力を入れ過ぎると、疲れやすくなってしまうと同時に肩凝りなどの原因となってしまいやすくなります。
歩く時も、歩幅を狭くするよう意識し、普段よりも内股で歩くことによって美しさが際立つことでしょう。
身体の内側部分に力を力を入れるようにしながら歩くことで、内股もあまり辛く感じることはないとされています。
体幹トレーニングやバレエなどの身体の使い方とよく似ていて、インナーマッスルを意識することにより美しい歩き方を実現させることが出来るでしょう。
そして歩く際に履いている、草履や下駄なども音を立てたりすることの無いように、ゆっくりと歩くことがポイントです。
階段での注意点
着物を着用している状態で階段で移動する際は、一段ずつ丁寧に登り降りするよう心掛けましょう。
着物は普段の洋服とは違い重みもある為、階段での移動は疲れやすくなってしまいますし、着物の裾が乱れやすく、着崩れが起こってしまいがちです。
着崩れを防止する為にも、空いている手を使い裾を持ちながら抑えるようにして歩くと良いでしょう。
階段に対して自身の身体の方向を少し斜めにすることでスムーズに登り降りしやすくなります。
着物に着馴れていないと、意識しなければならないことが多くあるので、どちらかの手を自由に使えるようにしておく為にも、片手で持てるサイズの荷物に抑えておくようにしましょう。
食事する時
食事を行う際は、着物の帯がテーブルに付かないように注意しておかなければなりません。
帯と食事を行うテーブルの間に最低でも10センチくらいのスペースの余裕を確保しておきましょう。
テーブル上に置いてあるものを取る時には、着物の裾に汚れが付着してしまわないように、裾を手で抑えながら、動くことをお勧めします。
万が一、食べこぼしや飲み物がこぼれてしまった時の為にも、ハンカチは必ず持参するようにしましょう。
椅子に腰掛ける時
椅子に腰掛ける際には、着物の帯を潰さないように注意しましょう。
なるべく浅く腰掛けることがポイントです。
背もたれのない椅子であっても同様で、椅子に深く腰掛けてしまうことによって、見た目の美しさが半減されてしまいます。
着物を着ることは心得ておかなければならないことが多く、日頃の習慣が表に出やすくなってしまいます。
しかし、着物を着こなすことにより、日本人が持つ和の心の奥ゆかしさを肌で感じることが出来るようになるでしょう。